配当 (分配) のあるアメリカンタイプのオプションで難儀な問題に、アーリーエクササイズ (早期権利行使) があります。売りも買いも同様です。
その事について、手持ち本でも触れてあります。
この本は、原資産を中心に据えたオプション、カバード・コール、キャッシュ・セキュアード・プットなどで必要ありませんが、一見の価値はあると思います。自分は、少しつっこんで知りたいと思って買って以来、ことあるごとに開けている、実務と理論のバランスがとれた良書です。(ジョンハル本より素人向き)
その中で、
OCCはマーケットメイカーにのみ、取引日中にひとつのオプションに対してロングポジションとショートポジションをとることを許可しています。例えば、配当落ちの前日に100個コールを買い、同じコールを100個売れば、正味のポジションはゼロです。したがって通常であれば行使もできませんし、割り当てられることもありません。
ところがマーケットメイカーであれば、取引終了後に買った100個を行使して株に換え、そして100個のコールのショートポジションを取るということが可能なのです。マーケットメイカーは、これを利用して配当落ちの前日にマーケットメイカー同士で大量のコールの売買を執行して、オープンインタレストの大部分を独占することができます。
こうして、買った分を行使して株に換え、うまくいけば売った分のいくつかが割り当てられずに残り、配当をかすめ取ることができるというわけです。
~ 略 ~
1)通常、コールを行使し忘れるのは個人投資家です。配当スプレッドは言わば、プロがその立場を利用して本来保護されるべき個人投資家のミスに付けこんで利益を上げる取引だと言えます。
2)バイライトのポジション(株のロングとコールのショート)を取っている人にとっては、マーケットメイカーが配当スプレッドを実行することでコールが割り当てられる確率が高まります。 つまり、本来は配当分の収益をあげられたかもしれないのに、マーケットメイカーが大量の配当スプレッドを実行してオープンインタレストを独占することで、その収益機会がぶんどられてしまうわけです。
~ 略 ~
狡い気もしますが、MMとして普段努力しているんだからそれぐらいさせてやるよ、と言う事でしょうか。低ボラ環境下であっても気楽なタダメシとはいかないワケですし。
引用箇所のコラムがweb上で読めるのでついでにご紹介。
【最終回】個人投資家のミスにつけ込むことへの批判と メリルリンチの失敗 | ダイヤモンド社書籍オンライン
ま、配当 (分配) 絡みの時は、行使忘れの買い方は兎も角、ITMの売りっぱな個人も準備万端でフリーランチかもしれないとgfgf言ってる機関も平等で、ミンナ揃って聖地 (OCC) に向かって跪きお祈りする以外に手がないという事ですな。
*OCC = Options Clearing Corporation
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